クセが強いけど面白い!『花鳥の夢』おすすめ歴史小説

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しきぶろぐです。山本兼一さんの作品の1つ『花鳥の夢』を読んでみました!

主人公余人の追随を許さない天才絵師の狩野永徳。
緋連雀を書いた女性に一目ぼれ!でも恋心まで上から目線?!傲慢だけど、謙虚。天才だけど、嫉妬と苦悩に、長谷川等伯がライバル兼恋敵?


有名作品を書く軌跡の中で、織田、豊臣との交流、本人の葛藤を描く!
人間味のある、背中を叩いて応援してあげたくなるような、親しみやすい狩野永徳でした!
天才にも悩みはあるんだなって、読んだ後元気になれる、心にふっと残る作品です。

見どころピックアップ!&感想

傲慢な永徳

「父の絵はいつもこうだ」

「父は絵師として愚鈍である」

花鳥の夢 山本兼一 文藝春秋 2013/4/25 23p

技術で父を超え、上から目線なお坊ちゃま絵師さん。いつもちょっとだけ父をバカにしている。傲慢!

ちょっと悟ってるっぽくて俺かっこいいと思ってる永徳。

そして自分自身では

ー絵師は非道な生き物だ
ー絵師は非道は森羅万象を描き、乾坤の精髄を筆にからめとるべし

とか思ってかっこつけちゃってる永徳。この文章を書ける山本さんの文章力がすごすぎます!

お父さんも実は凄かった?!俺って実は…


「よい絵からはよい音が聞こえるのだ、観るもののこころが遊ぶ場所が必要なのだ」

と父に説かれて、目から鱗が落ちる永徳。いつも侮っていてごめんなさい。ってひそかに思ってたり。(かわいい)

あいつは俺の恋敵だし、絵もうまいし憎いやつだ!

その後、自分と同じかそれ以上の絵師に出会って無自覚な嫉妬と焦燥感に駆られて…?
しかもお嫁さんも絵がうまくて、かつての自分の初恋の人で?!

俺の初恋の人取ったし、絵はうまいし、あいつムカつく!という声が聞こえてきそうな永徳でした。

絵に生き続ける永徳

相も変わらずライバル兼恋敵?の稀代の絵師(長谷川等伯)に嫉妬する永徳。
でも最後の最後まで筆を握り続ける永徳の姿には、職人、日本一の絵師としての姿が。

うじうじしないでしゃきっとしなさい!と応援してあげたくなる物語でした!

登場人物

主人公:狩野永徳

狩野家の三男坊。次期当主。
絵の才能が一族の中でも飛びぬけている。それ故かちょっと傲慢で俺様気味。
自分より絵が下手な父を内心バカにしている。
お祖父ちゃんっ子。

父:直信

現狩野家当主。永徳の祖父元信と比較すると絵の才能に劣る。もちろん他の者より並外れて上手いのは確かである。しかしそれ以上に、当主として顧客とのコミュニケーション能力が高く、経済面を支える。

祖父:元信

先代当主。絵の天才と謳われ、永徳がその才能を継いだとされる。永徳の憧れの人の一人。

長谷川等伯

狩野家に弟子入りした後破門されて独立。永徳の初恋の人(緋連雀を描いた女性)の夫。
繊細で美しく構図の綺麗な絵を描く。

織田信長・豊臣秀吉

お馴染みの戦国の武将。どちらも狩野一門に城の壁画などの依頼をする。
二人は目利きという設定になっており、永徳の成長に一役買う。

ネタバレ あらすじ

鷹匠からヒレンジャク緋連雀を捕まえた、という報を聞き、狩野永徳は写生しに出掛ける。
そこで公家の近衛家の方から女性が描いた緋連雀の絵を貰う
狩野永徳は自分には描けない絵を見て内心嫉妬し、小馬鹿にする。

その後、洛中洛外図の発注を受け、今までの我流では描けず、悩みに悩む。その過程で小馬鹿にしていた父をちょっと尊敬する。

ふと最初の緋連雀を描いた女性に会いに行くが、まさかの結婚間近だと知り、ひそかに失恋。
自分も土佐家から嫁を貰う。すると新妻をだんだん好きになっていく。ついでに絵も好調に。

そのすぐ後に、己の心の具現化ともいえる四方を取り囲む龍を書き。
時の人、織田信長に拝謁し、気に入られる。

そして織田信長からの依頼で次々と絵を描いている矢先、例の緋連雀の女性の旦那さんがいつの間にか狩野家に弟子入りしていて?!しかも旦那さんも絵が上手くて、でも認めたくなくて醜い嫉妬に走る永徳。完璧なのにケチをつけたり、狩野の絵ではない!と言ってみたり…ついに弟子長谷川等伯を破門にしてしまう。

ついに信長から安土城の城内すべての装飾を一任される狩野永徳。日本一の画家だと自負するが、それでも元弟子長谷川等伯への嫉妬は消えなくて…。信長本人の助言も受け、信長の人柄に感銘を受けるとともに、作品の完成度も高まっていく。

そして破門した元弟子の絵に圧倒されて、スランプに陥る永徳。なにが上手い絵だったのか、自分の絵の自分たる由縁を迷ってしまう。そんな内心を表出したかのように、織田信長は本能寺の変にて討ち取られてしまった。

その後、後を継いだ豊臣秀吉から大阪城の障壁画諸々の絵を一手に任される。名誉なことだと張り切るが、秀吉の目利きは確かで、かつ注文が多い。
悩んだ末の大作、唐獅子図屛風が完成する。
ただ、千利休に言われた父の絵の方が懸命に描いた作と見え心地よいという一言に愕然とする。

絵を描き続ける永徳だったが、長谷川等伯の絵を描く姿が楽しそうなことに羨望と、嫉妬を覚える。
しかしそれでも己の情熱をひたすら絵にだけ傾け続けた

ここまでお読みいただきありがとうございました!今後もおすすめの小説一覧や、感想等まとめていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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